イッペイのフォトエッセー 「王道楽土」の雪と虹:瀋陽(奉天)2007/12/25-29 (C) Script by Miyake_kobo.
HOME

かつて「王道楽土」と言われた土地はグローバリゼーションの荒波に洗われていた。

中国東北地方(もと満州と呼んでいた地域)の瀋陽に来ている。 昨日、2007年12月25日、午後の便で東京成田から到着した。
マイナス10度の街を歩いてみた。気温は低いが雪はない。
ホテルは中街という瀋陽で一番賑わう通りに面している。商店や食事の店が集中しているところだ。飴売りの移動店舗も多い。
ファミリレストラン(中食快餐)から吉野家まで。店員はサンタの赤と白の帽子を被っている。東京と同じだ。サンタの衣装が「グローバリゼーション」(市場化、均質化)の象徴と言えようか。

トヨタから吉野家まで大陸進出の嵐といっては大げさか。しかし。グローバリゼーションの総設計士はサンタであることは疑いない。

瀋陽は多民族の都市である。

まずは満州族。
歴史的には大清帝国の基礎を築いた「創業者」のヌルハチとホンタイジが実際に生活し政治を司った故宮が保存されている。大清帝国の最後の皇帝(ラストエンペラー)・溥儀を担いだのが日本の傀儡国家であった満州国である。
瀋陽の故宮は北京の故宮に比べれば簡素ながらも遊牧民である満州族の生活様式・軍事様式が残されている。満州八旗にちなんで設計された大政殿とこれを取り囲む十王亭(八旗亭)の遺構は降りしきる粉雪の中でひときわ映えている。

朝鮮族。
瀋陽には朝鮮族の人たちが多く住む。朝鮮族の街の盛り上がりも大変なものである。東京の歌舞伎町・大久保以上かもしれない。北朝鮮系のレストランで「ピョンヤン(平壌)」ブランドの焼酎を飲んでみる。香りがほとんどない。物不足の中での酒づくり。無理もない。しかし北朝鮮ではこの焼酎を飲める人は特権階級なのであろう。

読み込み中!

漢族。
東北部で活躍した中国の英雄は張作霖・張学良の親子である。とりわけ張学良は「救国の英雄」である。西安事件を思い出してみよう。張学良が蒋介石を監禁した世界史に残る大事件である。これにより国共合作が実現し、以後大日本帝国は劣勢となり、米国との太平洋戦争へと追い詰められていく。
張親子が生活し執務した邸宅は張氏帥府博物館として保存されている。特筆すべきは張学良は日本の教科書に出てくる「軍閥」に加えて、東北(満州)の金融王でも会った事実である。邊業銀行を設立し金融界に名を成した。この銀行の建物は金融博物館として保存され実際の銀行業務の場面が等身大のジェオラマで再現されている。「東北の金融」という特別展示が行われていた。

かつての日本族。
現在の瀋陽駅は満州侵略の尖兵であった南満州鉄道で最大規模の拠点駅であった。当時は奉天駅と呼んでいた。奉天駅の建物はそのまま瀋陽駅に受け継がれている。駅舎の塔には鉄路の「工」の字をかたどった「満鉄」のマークとよく似たマークを見つけた。満鉄は「工」と「M」を組み合わせている。よく似ている。古い建築物を残すことは大変費用を要する事業である。歴史遺跡を保存する事業は中国の各都市で大規模に行われている。